パルプや
コットンリンターなどの
セルロースを
水酸化ナトリウムなどの
アルカリと
二硫化炭素に溶かして
ビスコースにし、
酸の中で紡糸して(湿式紡糸)製造する。ポリエステルなど石油を原料とした
化学繊維と違い、加工処理したあと埋めると土に還る。そのため、レーヨン自身は環境に負荷をかけない繊維とされるが、製造時の二硫化炭素の毒性や、強度が低いことなどが問題となっていたことと、日本においては原料パルプを
針葉樹に求めていたため製造は中止された。その一方で、レンチングリヨセル社が
N-メチルモルホリン-N-オキシドを溶媒とした
リヨセル®を開発し、最近では高級品として広がりつつある。日本固有のセルロース繊維としては
キュプラがあり、コットンリンターを原料としたパルプを銅アンモニア溶液に溶かし、細孔から水中に押し出した再生繊維である。これは銅アンモニアレーヨンの一種である。絹に似た光沢・手触りが特徴。洋服の裏地などに用いられる。
ニトロセルロースを揮発性の有機溶媒に溶かしたものをピロキシリンと呼ぶ。ピロキシリンは、その呼び名がギリシア語の
pyr(火)と
xylon(木)に由来したように燃えやすい化合物であった。ピロキシリンを小さい孔から噴出させると溶媒は瞬時に蒸発し、ピロキシリンの細い光沢ある繊維が得られた。これは最初の
化学繊維で、1855年にシャルドネにより「レーヨン」として特許が取得されているが、きわめて燃えやすく危険で、レーヨンのドレスを着た人間が火だるまになるという事故が続出し、第一次世界大戦前までには生産は中止された。その後燃えにくい繊維が開発され実用化されたので、ピロキシリンは原料として使用されなくなった。現在のレーヨンはセルロースそのものを再配列したもので
再生繊維と呼ばれる。