ピュートーンは、自分が
レートーの子によって死ぬという
予言を受けた。そこで彼は、アポローンと
アルテミスを身籠もっていたレートーを世界の果てまで追い回し、彼女を亡き者にしようとした。しかしレートーは
ゼウスや
ポセイドーンらの助けによって無事出産した。アポローンは生まれて三日目で弓矢を執り、母の恨みを晴らしたのだという。
パウサニアスによれば、ピュートーン退治はアポローンとアルテミスによって行なわれ、ともに穢れを祓うためにアイギアレイアへ向かったとしている。
[パウサニアス『ギリシア記』(飯尾都人訳)、龍溪書舎、1991年、p.109.]。
アポローンはピュートーンの亡骸を手厚く扱い、デルポイのアポローン神殿の聖石
オンパロス(Ομφαλ??)の下に葬った。オンパロスとは「へそ」の意で、同地が世界の中心たることを示すという。また、ピュートーンのために葬礼競技大会
ピューティア大祭(Π?θια)の開催を定め、新たに開いた自分の神託所の巫女にもピューティアー(Πυθ?α)を名乗らせた。
『
新約聖書』の「
使徒行伝」16章16〜18節にもピュートーンが登場している(
新共同訳では「占いの霊」)。このときピュートーンは女奴隷に取り憑いて占いをさせていて、
パウロ一行に出会うと何度も「この人たちは救いの道を宣べ伝えている」と繰り返した。パウロがうんざりして「イエス・キリストの名によって、この女から出ていけ」と言うと、ピュートーンは即座に出ていったのだった。